アイドル業界がVTuberに取って代わられる理由

アイドル業界がVTuberに取って代わられる理由

 

2010年代初頭、AKB48が火付け役となったアイドルブールから早10年。遠巻きに見ている限り業界では紆余曲折ありましたが、旋風を巻き起こしたタレントたちもすでに衰え、退き、そしてあの熱狂的なブームは過去のものとなりました。あのアイドルブームはとうに終わったのです。

 

しかし、これまでの社会で幾度となくアイドルブームが到来しているからには、多くの人が再びのアイドルブームを予感していることでしょう。『10年後、20年後くらいにまたアイドルムーブが起きるだろう』と、そう思っているはずです。

 

ところが私の予想はそうではなく、もうアイドルブームは二度と来ないと思います。

 

では一体何がアイドルブームを終わらせるのかと言えば、2010年代後半から台頭した新勢力であるバーチャルユーチューバー(以降:VTuber)です。突如現れた新進気鋭のVTuberらが三次元アイドルを席巻し、いやそれどころか断続的なブームに留まらずコンスタントに人気を博し続けることと思います。

 

今回は私がそう思う理由についていくつか説明させていただきます。

 

 

VTuberとアイドルは異なるようでいて実は同質

VTuberとアイドルがまったく異なると思った方は多いでしょう。たしかに表面上は全く別物です。けれども同質です。

 

※当初からアイドルという体で売り出しているVTuberも存在しますが、その他大多数は配信者の名目で活動しています

 

VTuberとアイドルはそれぞれ偶像崇拝および疑似恋愛の側面を持っており、ファンの全員とは言いませんが一部の層は恋愛感情や独占欲ありきで囲っています。いわゆるガチ恋勢です。ガチ恋勢は実在します。

 

この疑似恋愛性能において、VTuberがアイドルに勝っているからこそ、アイドルがVTuberに取って代わられると私は考えています。VTuberの方が疑似恋愛に向いているんですね。その理由はこれから見ていきたいと思います。 

 

 

VTuberは容姿や年齢による縛りが無い

VTuberは容姿や年齢による縛りが無い

 

是非はともかく事実の話として、人気アイドルには若さとルックスと処女性の三要素が求められています。この時点で大多数の人はアイドルになることができません。アイドルになるための条件は不可逆です。

 

ところが、バーチャルであるVTuberは設定自由なアバター纏い、それ自体を単なるアイコンではなく本人としているため、中にいるタレントの属性までもが問われることがなく(ルッキズムやエイジズムからの解放)、基本的にどんな人物でも志望することができ、またどんな人物でも人気を博せる可能性があります。

 

演者の中身さえ良ければ後はどうにでもなるのがVTuberであり、いわば受け口が広いのです。

 

【人気アイドルの条件】

  • 若い
  • 容姿端麗
  • ダンスや歌唱の才能と体力
  • 交際相手がいない。または明らかになっていない

 

 【人気VTuberの条件】

  • 話やリアクションがおもしろい
  • 配信内容の企画がおもしろい

 

またVTuberは演者が容姿を晒す必要がないことから、アイドルの必定である加齢や結婚などによる引退および世代交代も発生しません。 極端に言えば、たとえ中身が老人になろうとも、若い時と変わらず質の良い配信さえできれば、VTuberとしての人気を博し続けられます。

 

アイドルデビューへの門は狭い一方、VTuberの門はかなり広いです。

 

 

VTuberはスキャンダルが露呈しにくい

VTuberはスキャンダルが露呈しにくい

 

アイドルが疑似恋愛や理想の対象である以上、アイドルが支持を失う大きな要因にスキャンダルの露呈があります。

 

ご存じのこととは思いますが、これまでに多くのアイドルがスキャンダルを起こしては消えて行き、あるいは多くの支持者を失いました。アイドルにとって異性交遊などの炎上スキャンダルは死活問題です。事務所が最も恐れる事態として、単に結果が出せないことに加えてスキャンダルによる人気の下落があります。

 

これまでトラブルを起こしてきたアイドルらも、スキャンダルが明るみに出ないよう努めていたでしょうし、運営サイドもその点については目を光らせてはいたと思いますが、なにせアイドルの多くは年幾ばくもないティーンなわけで、異性と交遊したりヤンチャをするなと戒めても無理があります。なので必ずと言ってよいほどにスキャンダルが露呈します。そして怒ったり失望したファンから離れていきます。その光景は今までたくさん繰り返されましたね。

 

VTuberはこのスキャンダルという最大の弱点を克服しており、VTuberはバーチャルであるがゆえにリアルを公開する必要もなく、また中の演者の正体が割れていないことから怪しい噂話の浮上のさせようがありません。つまり恋人がいても既婚でも前科者でも、またその他何らかの問題を抱えていてもそれが明るみに出にくく、炎上したりファンが離れていくトラブルに見舞われにくいという長所があります。スキャンダルの露呈可能性が低い、それがVTuberです。

 

でもトラブル多いよねっていう話

スキャンダルが露呈しにくいVTuberですが、その一方で事務所と演者によるトラブルが後を絶たず、契約が決裂するなどして消えて行く人が定期的に現れます。これまで何十人いたでしょうね。

 

この要因として、当初ブルーオーシャンであったVTuber業界に目を付けたのが体制の整っていないベンチャー系であったために、結果そのようなトラブルが続けざまに発生したのだと思います。実績も歴史も誇りもなく、利益ばかりに目が眩んで参入してきた事業者では詮無き事だったと言えます。

 

この問題については、例えば吉本のような安定した大手事務所が現れることによって解決されると思いますし(現状ではにじさんじやホロライブあたりか)、よくある給料の不払いや演者へのハラスメントを行うコンプライアンス違反常習事務所はそのうちタレントが寄り付かず淘汰されるでしょう。いずれ業界は整えられます。

 

また、今後の苛烈なVTuber競争の中では、生き残りをかけて演者側もリスク管理に努めていくでしょうし、結果として演者側としても事務所側としてもやらかさない者だけが生き残ることになります。これこそが淘汰です。このことから、トラブル多発に見舞われるのは過去よりここ数年の間だけだと私は思っています。

 

 

VTuberはファンとの心理的距離が近い

アイドルの弱点の一つに、『実際にコミュニケーションを取ることができず、握手会でもない限り眺めて楽しむしかない』というものがありました。旧来のアイドルとはその名の通り偶像止まりだったのです。

 

しかしVTuberはこれを克服しており、VTuberなら配信(コメント欄やゲームなど)を通して偶像本人と実際に意思疎通をはかることができるため、アイドルと比較して心理的距離が圧倒的に近く感じられるので、この点で疑似恋愛性能に優れています。

 

ただ見ていることしかできないアイドルと、こちらの発信に応じてくれるVTuberでは運電の差がありますし、その中からガチ恋勢が生まれてくるのもある種致し方ないと思います。世の中には異性と話をしただけで好きになってしまう人とかいますからね。

 

であれば、私としてはアイドルも雑談配信などを行ってファン獲得に乗り出した方が良いとは思うのですが、大抵のアイドルビジネスは『アイドルと話したければ握手券やグッズを買え(訳:課金しろ)』という状態ですので、管理側的にはタダでファンと話させたくないわけです。彼らはこれまで握手券や有料イベントなどでマネタイズしていたので、その特権や(業界の)常識が失われることを恐れているのでしょう。

 

 

YouTubeの台頭と配信者としてのVTuber

YouTubeの台頭と配信者としてのVTuber

 

今や世間のテレビ離れは進行し、それに相反するかの如くにネットが普及しました。その中で特に精彩を放っているのが、動画投稿ならびにライブ配信を可能するYouTubeで、今や若者から中高年までもが同メディアを利用しています。

 

そして、そのYouTubeを拠点としているのがVTuberなわけですので、VTuberからすれば自分たちのテリトリーにお客さんたちがなだれ込んできて絶賛入れ食い大フィーバーという状態であり、その上最近に至っては(日本のVTuberが)中国のbilibili動画でも人気を博し始めていると聞き及んでいて、ついにその人気は海をも超えてしまいました。空前のVTuberブーム到来です。

 

そのVTuberに関する盛り上がりとは真逆に、テレビという媒体を主戦場としていたアイドルは冷え冷えでもはや見る影もありません。

 

ですので、テレビからネットに人が流れている現状では、アイドルよりもVTuberの方が将来性があります。三次元アイドルももっとネットを活用すれば良いと思うのですが。

 

 

(アイドルと比較して)VTuberの方が楽に儲かる(と思う)

(アイドルと比較して)VTuberの方が楽に儲かる(と思う)

 

まれに『VTuberが一度の配信で何百万円投げ銭された』と耳にするように、多くのファンの獲得の成功したりお金持ちに魅入られた配信者は儲かるようです。大手の場合は数時間の配信をするだけで安定して数十万を獲得でき、こうした有様が『バーチャルキャバクラ』と呼ばれる所以となっています。

 

もちろん、いくら一度の配信で数百万のチップが入ったとは言え、その何割かはYouTube側のマージンになりますし、それに握手券商法などを手広く行っているアイドルに比べたらVTuberの収益力など高が知れています。

 

ですが、VTuberはアイドルとは異なりランニングコスト(参入費, 宣伝費, 育成費, スキャンダルもみ消し費等)を安く抑えることができ、またYouYubeというプラットフォーム上の仕様で広告収益やサブスク代(ファンクラブ会員費)を得ることもでき、それに加え、結果を出せなかった場合の撤退が容易で、トータルで見るとアイドル業よりも圧倒的にマネタイズしやすいと思います。

 

【VTuberのマネタイズ手段】

  • YouTubeの広告費
  • 投げ銭(チップ)
  • サブスク
  • グッズ販売

 

これらのことから、アイドルをハイリスクハイリターンなビジネスとするなら、VTuberはローリスクミドルリターンなビジネスと言えるでしょう。

 

現状で成長を続けているのがVTuber、その反対に人気および収益を落とし続けているのがアイドル業界です。

 

 

次世代アイドル、それがVTuber

トータルに考えた場合、現代的な偶像や疑似恋愛としての適性はアイドルよりもVTuber側にあります。

 

VTuberとは次世代のアイドルであり、現状の三次元アイドルたちは間もなく取って代わられるでしょう。これが世の流れです。これまで若者らの偶像はもっぱら生身の人間でしたが、これからは仮想のキャラへと変貌を遂げます。

 

しかしながら、三次元アイドルのすべてが過去のものとなるのではなく、三次元アイドル業界は一部のニッチなファンに支えられて存続していくと思いますし、いわゆる地下アイドルのように一部で際どいビジネスを展開する特殊なアイドルやご当地アイドルの需要も尽きません。VTuberに魅力を感じない感性の人たちは、これまでと変わらず三次元アイドルを愛好し続けるでしょう。

 

二次元か三次元か、選ぶのはファン次第です。