ブノワ・ペール『舐めプとともに去りぬ』

ブノワ・ペール『舐めプとともに去りぬ』

 

The CRAZIEST Tennis Player - Benoit Paire

 

───Luke Allen

 

怒ってツバ吐いたらダメだよペーさん...。

 

 

最近は敗戦続きだったが、とうとう17歳のルネにまで敗北を喫したペール。

 

わざわざ世界中を回って適当にやっては早期敗戦、ふざけるのも大概にしてほしい。いつか変わると信じて、どこぞの忠犬か良妻のごとく待ち続けたけど、もう心底ガッカリした。

 

私はただ、ペール大兄のチャーミングなヒゲと、変幻自在のトリッキープレイが見たかっただけなのに。それだけのことだった。

 

 

ザ・奇人

彼=フランスのやべーやつ

 

フランスのプロテニスプレイヤー(世界ランキング30位付近 / フランス代表)であり、日本のエース錦織圭のライバル*1と謳われる奇人、ブノワ・ペール(Benoit Paire)は、現男子テニス界で5本の指に入る問題児で、コート外はともかく、とりわけ試合中の素行不良ならびに奇行が多く、少なくとも半数以上のマッチで何らかのバッドマナーを働いている。テニス界では定番のラケット破壊行為は、もはや板についている。

 

彼が無残にも破壊したピュアアエロ

 

ペール ラケット破壊

 

機嫌が悪い時は連続で数本折る程度には奇人もとい凶人。

 

 

奇行の多い彼がたくわえた、髪と入れ替えても違和感がないヒゲも一種の奇行ではある。

 

 

数あるATP問題児の中でも、彼の場合、暴言や相手プレイヤーとの喧嘩を起こすのではなく、試合放棄やラケット破壊があまりにも多くて見苦しい。この2つがズバ抜けて目立ち、ついでに言うと癇癪もチラホラ。

 

個人的には悪童キリオスが霞んで見えるほどのクオリティで、彼はフォニーニとキリオスとトミックの問題児トリオを足して2.175で割ったような性格の男だが、ただしコート外では普通と聞く。このへんは試合中だけ豹変するメドベデフっぽい。

 

とりわけペールの場合は、ランキングの格下相手にあからさまに手を抜くことが多く、いかにも自分は真面目にやっていません的な所作(トリックショットや走らないなどの舐めプ)を見せつけ、またそれで劣勢に追い込まれると今度はわざと自爆───つまり試合放棄して終わらせようとする。その振る舞いは到底トッププロとは思えないし、例えるならマリオカートで逆走するいじけたガキみたいな真似するなよと。押され始めるやいなや試合を捨てるのはダサい。

 

これはあくまで独りよがりな推測だが、実際の彼は見た目以上に負けず嫌いであり、格下に負けるのが怖いからこそ手を抜いて保険を作っているように見える。要するに勉強してないアピールや寝てないアピールと同じメソッドで、悪い結果に転んだら『真面目にやっていなかったから』と言い訳ができ、良い結果に転んだら今度は『真面目にやっていなかったのに成果が出た』と自分の優秀さをアピールできる。事前に保険を作っておけば、どっちに転んでも美味しい。

 

もっとも、このような予防線張りは、わかっている人から見るとかなり子供じみていてダサい。私も予防線を散りばめていた時期があったからこそよく分かる。

 

あのキリオスも比較的上記の予防線スタンスを取っているが、ペールはキリオスのそれをはるかに凌ぐ。なにしろ相手が格下時の手抜き率が半端じゃない。

 

いやもちろん、大会中の日程を考慮し、体力をセーブする意味で出力を押さえる戦法はツアー界で広く見られるとは言え、彼の手抜きにそのような意図はまず認められず、あくまでやる気の無さを強調するためにパフォーマンスを下げている。そしてこれは『気分のムラ』で片付けられるような頻度ではなく、とりわけ最近はいつもそうだ。見るたび見るたびテキトーにやっていて、1Rか2Rで格下に負けて消えている姿には哀れみすら覚える。私は彼の輝かしい時期を知っているからこそ、余計にもの悲しい。

 

そのうえ彼は、SNSで意欲の低さや不平をもらす投稿を行い、たびたび物議を醸している。曰く『ほどほどにやって稼げりゃそれでいいんだよ。ガチでやる理由なんてない(翻意)』、とのことらしい。

 

わざわざやる気の無さをアピールするあたり、やはり予防線を張っていると考えるのが妥当ではないだろうか。

 

しかし、ここまで手を抜いてもなお、彼は世界のトップ層に食い込めているのだから、その才能とポテンシャルには並々ならぬものを感じる。ただしメンタルは逆方向に凄まじい。この点はキリオスとまったく同じだ。センスによって然るべき手順をスキップした弊害により、メンタルがステージに追いつかなかったように見える。

 

これはスポーツ選手に限った話ではないが、天才すぎると挫折の少なさゆえにメンタルが成長しづらいのだろう。だからある程度頭打ちになったところでしっぺ返しを食らう。そこでブレークスルーできるかどうかが問題だ。

 

 

ところで、なぜ私が彼にこんな執着(?)しているかって、決して私が彼を嫌っているからではなく、むしろ彼が好きだからこそ真面目にやらないことに憤りを覚える。

 

ペールは見た目もさることながら、変人揃いのフランス勢らしくプレースタイルもトリッキーで沸かせてくれるし、

 

ブノワ・ペール

 

ジョコビッチや同じフランス勢のガストンに比肩するドロッパーで、見ている側も意表を突かれる。総じてワンパターンで怠惰なテニスではなく、言っては悪いが同僚のシモンとはベクトルが正反対だ。(シモンの場合、"沼" を理解した上で観戦すれば多少の楽しみようはあるのだが、しかしライトなファン視点ではビックサーバーに比肩するレベルで退屈である)

 

また、ペールはツアー中トップクラスにバックハンドが上手いこともあり、同じくバックハンド主軸の錦織の好敵手になっていたり、一方のフォアは弱点であるもののフォームはのびやかでスタイリッシュだし、不真面目なのになんだかんだランキング上位を維持しているなど、控えめに言っても彼には多くの魅力がある。

 

ちなみに、去年のフォアハンドの最速記録を持っているのは彼らしい。(ロッテルダムで182km/h)

 

もっとも、デタラメにリターンして偶然インになった打球なんだけど。

 

 

"舐めプとともに去りぬ" か、あるいは

年齢的にも、彼がこれから成績を伸ばすことはまずないだろう。

 

したがって、すでに彼は引退までどのように振る舞うか、そしていつ辞めるかを問うステージに立っているわけだが、今の様子ではあと数年だけ適当に投げやりな試合をし、完全にやる気が底を尽きたタイミングで引退してしまうような気がする。彼は晩節を汚し、不名誉な印象のまま消えてしまうのだろうか。それともここに来て一皮むけるのだろうか。

 

一方、彼と同種に扱われる悪童仲間のフォニーニは違う。彼はメンタル面での成長を覗かせており*2、30歳を過ぎた今でもまだまだ闘志に満ち溢れている。

 

ペールとフォニーニ、一体どこで差が付いてしまったのか。そして後続の弱メンタル問題児・キリオスが心を改める日は来るのか。

 

メンタルに難を抱えた天才たちの今後に注目していきたい。

 

*1:対戦成績は錦織の7勝2敗

*2:19年は上海でマレーに、最近はカルーソに吹っ掛けて喧嘩していたけど