熊の増加と行動域拡大から考えられる恐るべき未来図

熊の増加と行動域拡大から考えられる恐るべき未来図

 

昨年はブナの凶作を要因として、熊がより人里近くに現れるようになり、一昨年も『4年に一度の出没年』などと言われていました。駆除件数も増加傾向にあります。

 

そして今年、熊による人的被害が後を絶ちません。忌むべきベアイヤー(Bear Year)です。

 

今や連日のように人が襲われるニュースが流れ、それによると重体や死亡被害が出ているのが現状で、若い女性からお年寄りまで、幅広い "ユーザー" が鉤爪の被害に遭っています。

 

熊被害の増加は私の主観ではなく統計によって明らかとなっており、また分布や行動域も拡大していると言われています。熊も自粛生活にしびれを切らし、人里へ Go To トラベルを試みていると見えます。子熊への手土産は(死霊ではなく)人間のはらわた。

 

この獣害、昨今の異常気象と同様に、年々深刻化していくだろうと私は思っています。

 

 

熊は増えている

熊 増加

 

県は、県内のツキノワグマの推定生息数を4400頭と公表した。この数字は従来の推定より大幅に多い。ここ数年、県内ではクマによる人身被害や人里への出没が相次いでいる。新たな推定に基づき、県はこれまでよりも捕獲に力を入れ、クマの生息数を減らす方針を明らかにした。

 

引用:社説:クマ生息数増加 人身被害の根絶目指せ|秋田魁新報電子版

 

あくまで上記は秋田県内のトピックとは言え、北海道のヒグマを含め全国的にも捕殺される頭数は増加していますし、専門家も個体数が増加していると警鐘を鳴らしています。

 

単に熊が増えるだけならともかく、これに後述する複数の要因が加わった結果が昨今の有様なのでしょう。

 

 

気候の変化

南国を見ているとよくわかることですが、地球温暖化の影響やら何やらで気候の悪化が年々深刻化し始め、それに伴い、熊さんの食糧となる木の実や虫が吹き飛ばされるようになってしまい、結果として農作物を求めた熊さんが人里近くに現れやすくなっています。

 

また、暖冬の影響で冬眠が遅れ、冬眠前の餌探しも長期化していると言われています。

 

行動範囲のみならず行動期間まで延び、さらに後述する要因が加わると。

 

 

人を恐れなくなった熊

熊は学習能力が高いと言われています。危ないものと危なくないものの学習も素早いです。

 

聞く話では、保護熊を野生に返す際、唐辛子スプレーなどを使用することにより『人=危ないもの』という認識を植え付けてから野に放ったり、人里に近づいた際はプロによってあえなく撃退されていたわけですが、昨今はそうしたケースが少なくなり、数年前から『人間=危なくない』と考える新世代熊が増加していると言われています。

 

要はナメられているわけですね。そこらへんのアライグマやハクビシン程度に思われていると。

 

だから住宅地にまで堂々と熊が出没するようになっていますし*1、むしろ『人のところにいけばエサが落ちている。山よりずっといい』と学習し始める熊もいることでしょう。実際、農作物被害も少なくありません。

 

と考えると、三毛別(さんけべつ)とはいかないまでも、連続的に人が食べられる事件が発生するのも正直言って時間の問題だと思います。人の味を覚えた熊はヤバいと聞きますし、ヒグマより弱そうな本州のツキノワグマも人を食べますよ。

 

つまり熊鈴も...

新世代熊の増加による弊害は人里出没に留まらず、登山などで熊の生息地へ訪れた人間に対しても容赦なく襲い掛かるでしょうし、また熊鈴で居場所を知らせても、逃げるどころか興味津々で引き付けられる───つまり熊鈴が逆効果になる恐れすらあります。

 

近年に入り『熊鈴は逆効果』という説が新常識となりつつある理由は、ひとえに熊が人間を恐れなくなったからなのかもしれません。

 

これまでの熊は熊鈴の音で去って行ったのでしょうが、これからの熊はむしろ寄ってくる可能性が高いですね。したがって、これまでの常識に囚われて熊鈴を常用している登山客などは、熊に襲われる可能性が高いと思います。

 

 

マタギの減少

クマを捕獲、および殺傷を生業とするマタギ(≒猟師)の減少も大きな要因の一つです。

 

少子高齢化および若者の都市集中が進んだ結果、熊が頻出する山間田舎エリアではマタギの後継者が慢性的に不足し、地元猟友会は弱体化。その結果、熊の人里新出を防ぐことができなくなっていて、撃退されないからこそ熊が余計に付け上がるようになっています。

 

また、マタギはいわゆる3K(キツい / 汚い / 危険)に該当する仕事(しかもコンビニバイト以下の低賃金)であるため、オフィスワークに憧れブルーカラーを見下すようなった現代の若者の肌には合わず、それゆえに志そうとする者もいません。せいぜいワイルドという名のロマンを求めた若者が稀に参入する程度だと思います。ミリタリー好きの一部とは親和性が高いのかもしれない。

 

ともかく猟師はジリ貧一方なわけで、これに対応するには自治体が彼らに高額な補助金を用意して後続を作るか、それが難しいなら電気柵などに設備投資をする他ないでしょう。もしくは警察や自衛隊に熊対応の部署でも設けるか...。

 

目下、熊が増加する一方で、現場を担えるプロは減少しているのです。だから余計に止めようがないと。 

  

 

過疎地域から陥落させられていく

熊が増加し生息域も拡大している以上、これからは田舎の過疎地域から順に熊に侵略され、逃げる物的余裕のある人から逃げ出し、そしてゆくゆくは少子高齢化に伴い無人の廃村となります。

 

そしてそこが新たな熊の居住地となり、近隣の過疎地域を繰り返し侵略、某マケドニア大王様のように領土拡大していくと。

 

こうして人は徐々に都市部へと追い出されていきます。

 

田舎は警察も猟師もロクにおらず、貧弱な年寄りだらけで誰も熊に対応できないわけですから、我が物顔で暴れる熊にただひれ伏すしかありません。

 

熊に対応しなければならない地域ほど、熊に対応できないという皮肉な現状がそこにあります。

 

 

自然観光地から人が遠のく

昨今、熊の増加に伴い自然観光地やキャンプ場などで目撃情報が頻発しています。登山中に襲われる人も後を絶ちません。

 

で、これらの場所に熊が出るとなると、人は当然それを怖がって近づきにくくなるわけで、したがって自然観光地やキャンプ場ではコンスタントに客足が遠のき、こうしたレジャースポットでの収益は減少するでしょう。そしてゆくゆくは、金銭的にも物理的にも営業がままならなくなります。

 

自然観光スポットを売りにしている田舎地域では、きっと厳しい将来が予想されます。そして居住のみならずレジャーまで都市集中が進んでいく。何もかもが都市一極集中。

 

熊が頻出する物騒なところへ喜び勇んで遊びに行く人など、普通に考えてそう多くはありませんからね。だから廃れていきます。

 

こと私に至っては、今年は熊が怖くて山間部に足を運ばなくなりました。きっと私のようにビビって行かなくなる人は今後増えると思います。

 

私はこういうのを見ると(早めに引き上げよう...)と思ってしまいます。なにしろチキンなので。

 

熊 標識

 

あと熊のフンや足跡を見ても一目散に逃げます。勘弁してくれと。

 

 

熊 vs. 人間の陣取り合戦

熊が隆盛を極める一方、徐々に対応力を失っている人間。

 

そう考える私なり将来予想は容易いもので、このままでは人間が都市部に追いやられ、山間部では人の味を覚えた食人熊が跋扈し通行人を襲うという中々物騒な世の中になるのも時間の問題です。まず食べられていくのは限界集落の老人。

 

そしていずれは

 

山=熊

都市=人間

 

のキレいな棲み分けが実現するかもしれません。『かもしれない』というかそうなる。少なくともこのままではそうなる。まともに対応できていないこのままでは。

 

その暁には、人間が自然レジャーを楽しむのも命がけになります。登山をするのも命がけ、渓流釣りをするのも命がけ、山菜採りをするのも命がけ、キャンプをするのも命がけ。運が悪ければ爪や牙で肉を抉られるか、あるいは生きたまま腸を引きずり出されて食べられる。

 

※熊は肉食動物ではないため、生きたままの人間を腹部から喰らう

 

さぁ、熊 vs. 人間の行く末はどうなるでしょうか。

 

私のようなか弱い人間は、三毛別や福大ワンゲルのようなレジェンド級の事件が起きないことをただ祈ることしかできません。ただ、重大事件が起こるための布石自体はすでにそこら中に散在しています。あとはそれが運悪く "起爆" するかどうかの問題。

 

申し訳ないが熊には滅んでいただきたい

以下は後付けのように感じられるかもしれません。私のかねてよりの本音を話します。

 

私は長らく『本州も九州のように熊を絶滅させるべきだ』と思っている節があって、保護および頭数の増加を打ち出している "善人" のやり方には異議異論しかありませんでした。

 

その結果がこのザマです。わざわざ危険な野獣なんか増やすからこうなる。野獣を増やすならアベックで美女も増やせと。

 

人間はさんざん色んな生き物をエゴでブチのめしているくせに、どういうわけだか一丁前に熊なんか保護しようなんて、土台が間違っているとしか思えない。露悪的に言えば平和ボケもいいところです。猟師と警察しか戦えない害獣をわざわざ野に放つなんて、どう考えてもイカれてる。割を食うのは一般人だというのに。ひょっとして利権マッチポンプでも狙ってるのかと。

 

それと都市部の人間に至っては、熊の事件ニュースが流れた際、SNSに『熊さんを駆除するなんてありえない! かわいそう!』って、お前らは都会のカフェで呑気にコーヒー啜った事しかないから気楽なもんだなと。カッペとコスモポリタンの価値観は乖離し過ぎている。

 

 

実際の熊がプーさんみたいな愛らしい存在だとでも思っているんでしょうか。いっぺん岐阜県あたりで熊の糞になってほしい。

 

話が逸れてしまいましたが、社会に余裕が無くなっている現状、熊の保護はそろそろ考えた方が良いと思います。生き物保護の理念には賛同するものの、それで齎される結末は看過し難い。

 

個人的には、保護を打ち出す人らが食われる分には自業自得だから別にどうでもいいですけど、無関係な人たちが困窮する姿には憐憫の情を覚えます。作物は食われるわ小屋は漁られるわ引っかかれるわ噛みつかれるわで踏んだり蹴ったりなのに。

 

 

ここであなたにひとつ問いたい。日本は将来的に

 

  1. 過疎地域を熊に侵略される
  2. 一転攻勢で熊を絶滅させる
  3. 熊とキレイに棲み分けする
  4. これまでと同じくチクチク突かれながら共生していく

 

以上のどれになると思いますか。 私は1と4の中間だと思いますね。

 

 

そして最後に、みなさんも山々に行く際は気を付けましょう。熊への対処法などは知っておいて損はありませんよ。とりあえず背を向けて駆け抜けるのはNG.

 

*1:コロナ禍による市中の静けさがこれに拍車をかける